新感染を観て驚いた


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毎度!

阪神が強すぎてドキドキが止まらないかっつんです。「あかん…、優勝してまう」って毎年言うてるんですが今年は実現しそうです。阪神ファンの皆さん、秋が楽しみですね。

さて、先日ビデオ鑑賞会をしたときの話をしたいと思います。

オススメや観たい映画を持ち寄って鑑賞会をしたんですが、その時に僕が持ち込んだのがこの映画。

「新感線ファイナル・エクスプレス」でした。この映画は、評判が高いらしいんですが全く僕は興味を持てませんでした。

好みや嗜好性の話になるんですが、僕はホラー系が全くダメなんですよね。お化け屋敷とかも苦手やし、肝試しとかも勘弁して欲しいです。

だからこそ、今まで心霊体験なんかをせずに過ごせているんやと思います。

映画であってもホラーは嫌です。ホラーで観たことがあるのも「チャイルド・プレイ」、「リング」くらいやないんかな?

霊験道士のキョンシーくらいですよ、普通に観れるのって。ゲームのバイオ・ハザードをプレイした時も「ギャー、怖いー!!!!ちょっと漏れたかも…」とか言いながらやってたくらいです。

それなのに…。バイオ・ハザードがあかんのに、ゾンビ映画である「新感染」を観るなんて正気やとは思えません。

でも、オススメされたんですよね。ただのゾンビ映画ではないからって。なんなら、泣けるからって。

泣けるゾンビ映画って何? 人間になりたい…って妖怪人間みたいなゾンビが出てくんの?聞いてみても、そこは自分の目で確認してって言われると観るしかないですよね。

しかし!!ホラーが苦手なかっつんは、1人でゾンビ映画なんか観れません!!!

肝試しに1人でお墓に行ってくるくらい無理なんです。平気な人には全然分らないでしょうけど、無理なもんは無理です。

そんな僕に神様が閃きをくれました。1人で観れへんかったら、人が居るときに観ればよくね?

ってことで、映画鑑賞会で観ることにしたわけですよ。我ながら、ナイスアイデアです。

ただ、ネタバレを含みます。新感染をこれから観ようと思ってる方は読み進めるかどうかは自己判断でお願いします。

観ようかどうか迷ってる方は読んでみて参考にして貰えれば嬉しいです。

目次

新感染ってどんな映画?

作品情報としては2016年に韓国で公開され、翌2017年に日本でも公開されました。カンヌ映画祭など、大きな映画祭でも絶賛された作品のようです。

まず、この映画の舞台はソウル発プサン行きの高速鉄道「KTX」です。たぶん、日本でいうと新幹線みたいなモノなんでしょうね。タイトルから勝手にそのように想像しています。

主人公(と思われる)のソグは、仕事命の敏腕ファンドマネージャーです。家庭を顧みなかった為に、奧さんと別居しており母と幼い娘のスアン(小学生くらい?)と暮らしています。

学校行事にも仕事を理由に参加せず、娘のスアンに寂しい思いをさせています。しかし、ソグには娘を寂しがらせているという自覚はありません。

なんなら、お金があるのでモノを買い与えれば機嫌も直るだろうというような考え方をしています。

そんなある日、スアンが誕生日を迎えます。プレゼントに望んだのが「お母さんに会いに行きたい」でした。

ソグの口から出た言葉は「仕事が忙しいから無理」でした。「また、別の日に連れていくから。今回はコレで我慢して」と手渡したプレゼント袋をユアンが開けるとWiiが出てきます。

無言でテレビの方に目線を向けるユアン。ソグがその目線の先を見つめると、そこにはなんと全く同じWiiがありました。そうです、すでにプレゼントしていたことさえも忘れていたんです。

このやり取りにより、ユアンを別居中の妻がいる釜山(プサン)に連れていくことになったソグ。その際に、乗り込んだ列車こそが物語の舞台である「KTX」です。

この列車が出発する直前に、1人の負傷した女性が駆け込んで来ます。この女性は逃げ込んだだけですが、ゾンビに噛まれていたのでウイルスに感染していました。

しかし、何事もなかったかのように特急列車はそのまま発車してしまいます。

発車して間もなくすると女性はゾンビと化し、次々と乗客に襲いかかります。そして、列車内はあっという間にゾンビで溢れかえっていくのです。

時速300キロ以上で疾走する特急列車内に紛れ込んだ1人の感染者がゾンビ化し、次々と乗客に襲いかかりゾンビが増えていく密室パニックアクション。

逃げ場のない密室空間で生き残れるのか?人々は極限状態で、生き残るためにどのような行動を起こすのか?

単純にゾンビが人を襲い続けるホラー映画と一線を画すのが、人間模様を丁寧に描いていたところだと思います。

僕が最後まで観れた要因として、そこまでグロの描写がないってところも高評価です。

あかんところ(怖いところ)

グロ描写が少ないと言っても、そこはホラー映画です。ちゃんと怖いところもあるんです!

ただ、僕が今まで観て無理!!ってなったゾンビ映画とは異なる怖さなんですよね。従来のゾンビってビジュアルの怖さとか襲い方のグロさとかが怖いってところやと思うんです。

人間食べてるやん…ってところから、食べ散らかされた人間もゾンビになってもう見るからにグチャグチャになっても動いてくる。こんなん想像するだけで気持ち悪いですよね…。

そういった所では、新感染はまともです。ゾンビになってもみんな原型とどめていますし、内臓がでてたりとかビジュアル的なグロさは皆無といってもいいかもしれません。

グロさはないけど、もちろん怖さはあります。子どもが観たら、泣いたり、夜トイレに行けなくなったり、一緒に寝てって言うくらいの怖さはもちろんあるんです。

黒目の部分が白くなったり、顔色が悪くなったり、人に噛みついているので口の周りが血だらけになっているというビジュアルのゾンビっぽさもあります。

しかし、この新感染のゾンビの怖いところはビジュアル面ではありません。なにが怖いかって…、新感染のゾンビって「走る」んです!!!!!とにかく動きが速い!

バイオ・ハザードなんかでもゾンビって動き遅いでしょ?

アーとかウーとか言いながら、手を前に出してノロノロ動きますよね。気持ち悪さもあるけど、動きがノロいから捕まらなければ逃げられそうって気持ちになれるんです。

そのゾンビが走るってどういう事でしょう?

動きの素早いゾンビからどうやって逃げたらええのか教えて欲しいです。ゾンビは走ったらあかん!この映画を観ながら強く思いました。この気持ちは観終わった後でも変わりません。

ゾンビは走るの禁止!この部分は、これから徹底して欲しいところです。

この映画、もう一つの怖いところは人間の怖さなんです。

追い込まれた人間が、協力して困難を乗り越える美しい描写もあるんですが、その逆がめちゃくちゃ怖い。

追い込まれた人間が、恐怖にとりつかれて疑心暗鬼になるというか何というか…。

結局は、自分が一番可愛くて保身に走ってしまうんですよね。人間の醜さと切り捨てたりするのは簡単でしょうけど、いざ自分が同じ立場に置かれた時に果たしてどちらの行動をするのか…。

例えば、ゾンビ達が溢れている車両を通ってこちらに向かって来る人達を受け入れるかどうかで揉めるシーンがあるんですけど、あなたは躊躇無く受け入れられますか?

こちらにくる人達の中に、1人でも感染者がいればゾンビ化して襲われる…。

ゾンビに追われる恐怖の中、やっと逃げ込んだ安全な車両。ここで大人しくしていれば助かるかもしれない。

そうホッと一息つけていたのに、安全な場所を一瞬でも解放してゾンビから逃げてくる人達を迎え入れる決断を僕には出来るんかな?って考えてしまいました。

こちらに向かってきているのが家族や恋人、友人なら怖くても助ける決断が出来ると思います。でも、全くの他人なら?

他人のために、自分自身や大切な人を危険に晒すことにもなりかねません。

ゾンビ達の群れの中を無事にこっちへ戻ってくるなんて出来るわけ無い。その気持ちも分ります。

他人のために自分たちを危険な目に遭わせるなんて出来るわけ無い。そんな意見の中で、可能性があるなら助けるべきって反論できるんやろか…。

そんな悶々とするような葛藤を抱えながら鑑賞するとは思いませんでしたよ。

人間の強さや成長

ゾンビ映画なのに泣けるのはこの部分でしょうね。

この映画って、主人公のソグが人として父親として成長していく様子も描いているんです。最初は本当にクソ野郎です。こういう人いるんでしょうけど…。

仕事人間ってだけではなく、自分さえよければ他人はどうなっても構わないって考えが随所に見えるんです。

娘のスアンがKTXの車内でお婆ちゃんに席を譲るシーンがあるんですが、そこでソグは娘を褒めるどころか「他人になんか席を譲らなくてもいい」と言い切ります。

他にもゾンビから逃げる際に安全な道を自分と娘だけで行こうとするんです。娘が「みんなに教えてあげなきゃ」って言っても「関係ない」ですって。

もう気持ちがいいくらいのクソ野郎ですよね。

しかし、その時にスアンが涙ながらに訴えるんです。「パパは自分の事しか考えていない。だから、ママは家を出て行った…」って。

娘の目にどのように自分が映っているのかを初めて突きつけられるシーンです。

娘からの言葉、そしてゾンビからの逃走の中で、人の温かさや他人を思いやる気持ちに触れソグの中にも変化が起こってきます。

他人への思いやりを見せたり、他人を守るために自分を危険に晒す事が出来るようになってくるんです。素敵やでソグ…。

なんと言っても、ゾンビに追われて分断された娘を助けにいくところなんかは凄い見せ場です。

娘と妊婦さんとお婆ちゃんとホームレス風の男が13号車のトイレにゾンビに囲まれながら隠れているところまで救出に行くわけですよ。

あなた行けますか?そんなとこ。ソグが乗っているのが9号車なので、9から13までゾンビのいる中で4車両も突っ切っていかないと行けないんです。

無理じゃね?って諦めてしまいそうですがゾンビに噛まれないように手首にテーピングをグルグル巻きにしてバットを武器に男達は救出にいくわけですよ。

規模は違いますがアルマゲドンみたい!エアロスミスが流れてきそうです。

この時に大活躍する妊婦さんの旦那さんがマジ格好いいんです。身体はプロレスラーみたいやし、拳でゾンビ殴って倒していくって凄すぎ!!

でも、殴って倒すんやったら、手首だけやなくてボクサーみたいに拳にもテーピング巻いて!!拳の部分噛まれちゃうから!

そんな僕の心の叫びは届くはずもなく、手首のみ頑丈にテーピングをしてゾンビと戦うんですよねー。さっきまで怖がってたのに突っ込みたくなりました。

この突っ込みは最後の最後でも繰り返されるわけですが…。

ネタバレになりますが、最後の最後で主人公のソグが娘を守ろうとしてゾンビに噛まれてしまいます…。

主人公やのに???って、めっちゃビックリしちゃいました。しかも、噛まれたのは手。だから、手首だけやなくて拳のところまでテーピングしとけってあれほど言うたのに…。

噛まれた以上、娘と一緒にいることは出来ません。自分がゾンビになってしまったら娘を襲ってしまうから…。

ソグは残された時間を使って娘にお別れを言います。それを聞いた娘は泣きながら、今まで言えなかった父への想いを吐き出すわけです。

「いや、一緒に連れていって!!ごめんなさいパパ、私を1人にしないで。パパと一緒にいたいの」って。

泣きながら自分にすがってくる娘を振り払い、列車の外にでるソグ。少しづつゾンビ化が始まってしまっています。

ゾンビになりかけているソグの脳裏に浮かぶのは、スアンが生まれた時の映像。我が子を初めて腕の中に抱きしめた時の幸せな記憶でした。

仕事仕事で家庭や子どもを顧みなかったソグが、ゾンビからの逃亡の中で本当の幸せとは何かに気付いた瞬間でした。最後の最後で気付けたわけです。

そして、幸せな想いを胸にゾンビになる前に列車から身を投げます。父として娘を守るために。

なんか、書いてる今も鼻の奥がツーンとしてきました。

ゾンビ映画と思っていたら、濃厚なヒューマンドラマを見せられた感じでした。人間の素晴らしい部分も醜い部分もどちらも詰まった見応えのある内容でした。

ゾンビが苦手な人も僕が観れたんでいけるんじゃないかなって思います。よければ、ぜひ一度観てもらいたいなって思えた映画でした。

今回も最後までお読み下さりありがとうございます。


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