毎度!
体調が悪くても、今病院に行くのが怖いので我慢しているかっつんです。どうしてもヤバくなったら行こうと思います。
今回は、営業という仕事が出来るかもと思ったときの話を書きたいと思います。
もし、読んでいるあなたが今、仕事に悩んでいるとか、お客さんとの関係が上手くいかない、頑張っても成果が出ないと感じているならお役に立てるかもしれません。
特に営業職で悩んでいる方には、僕の経験が少しでも参考になれば嬉しいです。
目次
お前、辞めろ
営業の仕事を始めて今年で16年になります。
今年43才なので、27才からやっていることになりますね。
僕は初めて就職したのが26才でした。しかも、就職した先は歯科医院。
もちろん僕は、歯科医師ではありません。往診の運転手兼診療助手の仕事をしていました。
その歯科医院から27才の時に株式会社 アイデムという求人広告の会社に転職したんです。ここからが、僕の営業人生のスタートになります。
前職が歯医者勤めだから、営業経験なんてゼロだし、なんなら社会人経験さえゼロみたいなもんでした。
アイデムに転職するまで、名刺さえ持ったことありませんでしたから(;´Д`)
まずは、名刺の渡し方を覚えるところからスタートでした。それと、ネクタイの結び方も(笑)
アイデムでは、求人広告なので地域の企業や個人店を訪問し、求人を考えていれば、新聞の折り込みやインターネットの掲載枠を売るという仕事をしていました。
地域ごとに専任の担当者が付くので、企業が多い地域や掲載単価が高い地域を担当させてもらえれば給料も増えるというある意味不公平なシステムでもありました。
当然、新人の僕が最初に担当したのは凄く小さな地域でした。今でもよく覚えているんですが宇治市の一部だけでした。企業数でいうと約200社。年間200万円ないくらいの売上げ規模です。
まずは小さなエリアで仕事を覚え、上司が仕事を覚えてきたなと判断すればエリアを増やしていくという流れになっていました。
こうなると、「早く仕事を覚えて、担当エリアを大きくして給料を増やすぞ!」ってなりますよね。
僕もそう思っていました。
しかし・・・、1ヵ月の研修が終わり、エリアを担当させてもらい2週間が経った頃、
「ただいま戻りました!」
大きな声で帰社すると、営業所長がギロリとこちらを睨んで来ました。
「ちょっと、こっちに来てくれるか」
呼ばれたので、所長の席まで行くと
「今日、お客さんからクレームが入ったんやけど。分ってるか?」
いきなり怒鳴られました。
どなるんやったら個別で言うてくれたらええのに・・・。そう思いながら、
「申し訳ありません。知りませんでした。どこのお客さんが、なんてクレームを言ってこられたんですか?」
と聞いてみました。すると、
「○○○ってお客さんや!何回も、顔出してくるから鬱陶しいねん。来られるん迷惑やし担当変えて言われたわ!何をしとんねん」
顔を真っ赤にして怒鳴る所長。みんなの面前で怒られるのは恥ずかしかったんですが、どうしても言いたいことがありました。
「お客さんのところに、しょっちゅう顔を出せと教えられました。とにかく訪問する回数が大事やと教えられた通りにしたんですが・・・。どうすれば良かったんでしょうか?」
本当に疑問に思ったんで、素直に聞いて見たんです。すると、更に顔を赤くした所長はこう言いました。
「どうすれば良かったかなんか自分で考えろや!27にもなって何甘えたこと言うとんねん!!」
超パワハラ発言を受けました。周りの年下の子達から(職場の中では先輩)の、「気の毒やなー」って言う視線や「何を怒られてんねん」といった蔑んだ視線を感じて悔しいやら恥ずかしいやら・・・。
会社から教えられた通りにやったのに、なんで怒られなあかんねん・・・反発心だけが残りました。
その後で、もちろん教育担当者や先輩達にも相談しましたよ。なにがダメだったのか、訪問するなって言われたらどうすればいいのかって。
「訪問するなって言うお客さんばっかじゃないから。そこは運が悪かったと思って諦めるしかないな」
帰ってきたのは、こんなアドバイスでした。素直な僕は思いました。そうか、運が悪かっただけなのかって(笑)
それから1週間後に、事件が起こりました。
またまた、クレームの電話が営業所に入ったんです・・・。
帰ってきたときの所長の顔といったらもう・・・。鬼がいるって思いましたよ。
僕が帰社するなり、
「こっち来い!お前この間言うたやろ!別のところからも迷惑やって電話掛かってきたぞ!」
所長の怒声が飛んできます。所長の席まで行き、
「すいません。でも、訪問を続けろって言われたんで・・・」
僕が答えると、
「口答えすんな!お前、センスないわ。もう辞めろ!こんな小さいエリアもちゃんと出来ひんかったら広げることも出来ひん。辞めちまえ!!」
今なら、完全に訴えてるレベルで罵倒されました。えぇ、Ⅰ時間ほど。
「ちゃんとどうするか考えて反省文書いてこい。辞表でもええからな」
っていう言葉で公開説教は終了しました。
そうです、入社して2ヵ月でダメダメ営業マンの烙印を押されてしまったんです・・・。
事務員さんに、「ここまで所長を怒らせた人おらんで」って、こっそり言われたくらいです。
何かに付け怒られるんで、どんどん僕の元気は無くなっていきました。
「もう辞めよっかな・・・」
そんな思いが頭をよぎったのも一度や二度ではありません。
ある会社の部長との出会い
そんな僕の営業人生を変えたのが、H部長との出会いでした。
H部長は、なぜか僕のことを気に入ってくださり、色々な事を部長から教わりました。
ネクタイの結び方もその1つです。上手く結べてなかったんですよ。部長に指摘されるまで・・・。
いや、出会ったから変わったんじゃないですね。僕の思いを、さらけ出したから変われたっていうのが正解かもしれません。
ある日、苦しくて苦しくてどうしたらいいのか分らなくなった僕にH部長が、
「どうしたん?元気ないやん。営業は元気ださんと売れへんぞ!」
って優しく笑いかけてくれたんです。
普段、会社でダメ扱いされていた僕。優しくされると、もう涙を我慢出来ませんでした。
「毎日毎日、しんどいんです。頑張っても頑張っても上手くいかない。お客さんは何回も訪問しろって会社は言うくせに、訪問し過ぎたらお客さんからクレームが来る・・・。どうしたらいいのか分りません」
今思えば、こんな話よく聞いてくれたなって思います。
でも、部長は最後まで何も言わずに話を聞いてくれました。僕が思いを吐き出すと、手元に出されていたお茶を一口含み、ポツリと部長は言いました。
「頑張っても頑張っても認めてもらえへんのって辛いもんなー。我慢してたんやな。」
「はい・・・」泣きながら答える僕。すると、つづけて部長が
「気を悪くせんと聞いてや?残念やけど、どんだけ頑張っても、今のままやと結果は出えへんで」
って衝撃的な言葉を言ったんです。まぁ、薄々は分ってたんですけどね。でも、営業所の誰に聞いても教えてもらえなかった疑問が解決するんじゃないかと期待に胸が膨らみました。
「そんなに見つめられると照れるがな(笑)なんで、結果が出えへんのか分るか?」
部長の問いかけに、クビを振る僕。
「分りません。先輩に聞いても、分りませんでした。でも、用もないのに何回も訪問されるのは僕なら嫌です」
そう答えると、嬉しそうに部長は言いました。
「その通り!分ってるんやん。用も無いのに、営業に来られても迷惑やねん。」
「でも、会社からは訪問回数が大事やから何回も顔を出せって言われてますよ?」
そう僕が問いかけると、
「だから、会社の教えが間違ってるんや。そんな教え聞いたらあかん。訪問するのが大切てや言うてたな?でも、用も無いのに来られたら迷惑。だったら、用を作ったらええねん!」
え?用を作る???部長の話に頭が付いていきませんでした。
「すいません・・・。用を作るって言うのは具体的にどういう事ですか?」
僕が聞くと部長は教えてくれました。
「君のところは求人広告を作って載せるんが仕事やわな。じゃあ、お客さんは何で困ってるんや?」
「そりゃあ、求人だから採用でしょうね」
「そうやろ?採用したいってお客さんが思ってんねん。もっと言うと、良い人材を採用したいねん。でも、今は売り手市場やから募集出しても人がなかなか集まらへんねん」
「そうですね・・・。僕のお客さんでも掲載しても応募が0件とかもありますし。」
「そうそう。なかなか応募の電話も少ないからな。じゃあ、そんな風に採用に困ってる会社に、同業でめちゃくちゃ応募が多かった持っ広告持って行ったらどう思う?」
ここまで聞くと僕のテンションも上がってました。
「喜ばれると思います!!」
「そやろ?少なくても、僕はそんなことしてもらったら嬉しい。うちの役に立つ情報を持ってきてくれたんかって思うし。載せて下さいしか言わん奴は、お金だけ下さいって言ってるようなもんやで」
これを聞いて、ハッと気づきました。僕は自分のことしか考えてなかったって。
・訪問しろって会社に言われたからしてただけ
・広告を出してもらっても結果しか聞いていなかった
・訪問の数だけこなして仕事をした気になっていた
こんなの何もお客さんのためになっていないって事に気づけたんです。
気づいたときには、入社して半年が経っていました。
そこから、訪問することを止めました。
止めて何をしていたのか・・・。部長から教わったとおりです。お客さんにとって役立つ情報を集めて提供することにしたんです。
お客さんの職種別に同業種の広告を集め、その求人広告の反響がどうだったのか担当者に聞いて回りました。そして、応募が多かったモノをピックアップします。
ピックアップしたら、その原稿を更に分析していきます。僕がチェックしていたポイントは
・どの媒体を見て応募したのか?(折り込みチラシ、フリーペーパー、インターネット)
・応募者の居住地域はどのあたりか?
・広告のどこを見て応募したのか?(何に魅力を感じたのか)
・写真やキャッチコピーで何を訴えているのか?(アイキャッチはどのようにしているか)
・応募件数と採用件数
この5つを必ず掲載してもらった自分のお客さんはもちろん、営業所の同僚のお客さんにも聞いてもらうようにしていました。
そうすると、データ貯まっていきますよね?
データが貯まってきたら、纏めてレポートにしたり、反響の大きかった原稿を貼り付けて分析内容を記入したり、提案原稿を作ったりして持って行くようにしたんです。
お客さんの反応が変わった
最初からいきなり良い反応が得られたわけじゃないですよ。
「うぉー!スゲーなこれ。頑張ってくれてんな!!」
って、言われるのをもちろん期待はしてました(笑)
でも、そんなに上手くいくわけないってことも分ってました。だって、僕が今まではお客さんにクレクレばっかり言ってたんですから。
急に与えますよってなっても胡散臭いですもんね。
でも、続けていると3ヵ月経つ頃にはお客さんの対応がガラッと変わっていました。
もう来んな!担当変えろ!って言われてた僕が、
「今度、相談あるから寄って欲しいんやけど、いつ空いてる?」とか「調べて欲しい事あるんやけど、店来てくれへん?」
こんな風にお客さんから呼ばれるようになったんです。
嬉しいですね(*^^*)
したことと言えば、ムダな訪問を止めたことと、お客さんに役立ちそうな情報を提供していただけです。
この頃に、僕は宣言しました。「この営業所でトップ営業マンになる!」って。
「ダメダメのお前が無理無理。何言っちゃってんの?」
って笑われてましたけど・・・。
西日本の全営業の中でベスト3に入る
「やったやん!社内報の成績表見たか?」
声を掛けられながら肩を叩かれ振り返った。
振り返ってみると、いつもお世話になっている先輩の見慣れた顔。
「先輩。まだ見てないんですけど、何かありました?」
嬉しそうな顔の先輩を見ていると、なにやら良いことがあったようでした。
「なんや!見てへんかったんか!?しょうがない奴やな。ほら、持ってきてるから見てみろ。営業成績のページな!」
早く早くと急かすように社内報を手渡してくる先輩。
「ち、ちょっと待ってくださいよ。今探してますから」
慌てて成績表のページを探す僕。
やっと、見つけたページを読むと“前年対比売上げ 2位 勝浦 豊 187%”、“アタック獲得数 1位 勝浦 豊 42社獲得”
目立つように大きく記載されたランキング上位5名の中に2つも僕の名前が載ってたんです。
「年間成績表や!よう頑張ったなー。かっつん、2つも名前載ってるやん!」
僕の背中をバンバン叩きながら、自分の事のように喜んでくれる先輩。
「ありがとうございます・・・。本当ですよね?叩かれたとこ痛いから、夢じゃなさそうやし・・・」
ドギマギしている僕に、
「ホンマに決まってるやろ!どないやって社内の会報に細工すんねん(笑)」
しっかりしろよ?みたいな顔をして、去り際に「営業所でトップ獲るって言うたん笑ってすまんかったな。営業所飛び越えて、西日本で1位獲ってるやん」と言い去って行く先輩。
その後、後輩達や上司からも「おめでとう!よくやったな」という言葉を掛けられ、やっと実感が沸いてきました。
「やった!ついにやったんや!」
心の中でガッツポーズをしながら、「飲み物買ってきます」とドアノブを震える手で回し、部屋の外へ出ました。
外の自販機で水を買うと、そのまま会社の入るビルの屋上へ。
「うおーーーーーー!やったぞ!俺はやったぞ!!見たかコラーーー!!」
気がつけば、泣きながら叫んでいる僕がいました。
これ以降、前年対比は優秀成績のベスト5に名を連ねるようになっていました。
「お前なんかセンスない。辞めてまえ」
そう所長に罵られてから1年半後の事です。
営業はセンスじゃない
あなたは、営業はセンスだと思っていませんか?
勉強熱心なあなたなら、色々な営業本を読んで勉強しているかもしれません。
そして、読めば読むほど自分とは違う・・・。自分にはこんな能力はない・・・。そんな風に落ち込んだり、諦めたりしていませんか?
確かに、センスが必要な事もあるでしょう。センスがいい人が売れているのも事実です。
努力すれば売れるようになるなんて、言うつもりもありません。
でも、あえて言いたい。営業はセンスじゃないと。
あなたが売れないと悩んでいるなら、それは自分の力に気づいていないだけです。
あなたの得意なことで、お客さんの喜びそうな事を探してみて下さい。
ここまで読んでくれたあなたはお分かりでしょうが、僕にはセンスなんてありませんでした。
最初は会社の言うとおり、クレームになるまで訪問してただけですからね(笑)
その後もただ、H部長から教わった、「お客さんが何をしたら喜ぶのかを考えてやってみる」このことをやり続けただけです。
それだけで16年も営業の仕事を続けてこれました。しかも、楽しくやれています。
最後は名言で締めたいと思います。
「狂気とはすなわち、同じことを繰り返し行い、違う結果を期待すること」
言われてみれば当たり前だけど、なかなか自分では気づきにくい・・・。同じことをしているのに、結果だけ違うなんて事は起こりません。起これば奇跡!
だから、結果を変えたければ行動を変えないといけませんよって事ですね。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。