毎度!
京都の幸せ配達人、勝浦 豊です。
今日も宜しくお願いします。
今日は、クリスマス・イブですね。
みなさん、早く帰宅して家族とパーティをされるんでしょうか?
もしくは恋人とディナーでしょうか?
今日は、クリスマスにちなんだ話をご紹介したいと思います。
こちらの本からの抜粋になるんですが書いていきますね。
目次
「クリスマスプレゼントに託された本当の願いとは?」
クレームの話になると、クリスマスに起こったある出来事を思い出す。今ではもう社会人になった我が子が、まだ幼稚園に通っていたときのことだ。
我が家では、子ども達が小さい間は、彼らの夢を大切に育むことを第一に考えていた。
夢というのは空想の世界である。空想する力とは、見えないものを
見ようとする力に繋がる。
急に現実的になって申し訳ないが、数学で立体切断の問題などは、
目に見えないものを想像できる力の有無が得点を左右する。
だから、決して私がロマンチストだからという理由ではない。
というわけで、クリスマスに子ども達へ届くプレゼントは
サンタからのプレゼントであることが重要で、決して親からの
贈り物であることがバレないよう慎重に事を運んでいた。
ある年、息子には戦隊ヒーローもののロボット、娘には子ども用
コンピューターという人気のあるおもちゃをプレゼントすることに
なった。
イブの夜、そのプレゼントを枕元に置き、私と妻は彼らが翌朝、
どんなに喜んでくれるかと想像をふくらませた。
もちろん、結果は大成功!
目を覚ましてプレゼントを発見した子ども達は大喜びし、
作戦は大成功と喜んだ。
ところが、良かったのはそこまで。
ロボットはいいのだが、娘の子ども用コンピューターが動かない。
何度も電源を入れ直してみても、機械がウンともスンとも
いわないのである。
さっそく買ったおもちゃ店Aに、こっそりと電話を入れることに
した。すると、電話に出てきた責任者なる人物はこう答えた。
「あぁ、子ども用コンピューターですね。
それは、私ども販売店の責任外なので、すいませんがメーカーに
直接連絡してもらえないでしょうか」
メーカーはB社である。
売った店の責任は感じないのかと不満ながらも、告げられた電話番号に掛けてみた。
ところが、何度電話しても話し中で繋がらない。それこそ、5分刻みほどの短いインターバルで、夕方まで繰り返し掛けてもダメだった。
一度、試してみるとよくおわかりなると思うが、得てしてメーカーの
クレーム受付窓口というのは繋がりにくい。
その上、25日のクリスマスということが災いした。
娘は泣き出してしまい、妻から「我慢しなさい!!」と叱られる騒ぎとなった。
しかたなくもう一度、おもちゃ店Aに電話した。今日中になんとかしたくてワラをも掴む心境である。
すると電話口に先ほどと同じ責任者がでた。
そこでフッと私にある思いが浮かび、こう切り出した。
私:「お忙しいところ、修理だなんだと言い出してすいません。
木下と申します」
責任者:「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
ここまではお互い、まぁ儀礼的な挨拶である。
しかし恐縮した言葉の奥で、相手は再び電話してきた私がどんな要求を言い出すか身構えていたに違いない。
そこで私は言った。
私:「メーカーさんの窓口ですが、今までお電話してみましたが繋がりませんでした。でも、もう修理とかはいいんです」
責任者:「はぁ?」
まさかの言葉に相手は思わず拍子抜けした声を上げたが私は続けた。
私:「お電話したのは、1つだけあなたにお伝えしたいことがあったからなんです。私があなたの店で買ったもの、それは何だかお分かりですか?」
責任者:「はぁ・・・」
相手にすれば、ますます訳が分からない。ここからが私の本意なのだ。
私:「現実には存在するはずのないサンタの国が子ども達の心の中にあります。子ども達はサンタクロースがいると信じながら、一方では本当にサンタがいるのか、本当にプレゼントを持ってきてくれるのかと不安も抱きつつ、イブの夜はサンタが来るのを見届けようと夜更かしして待ち続けます。
でも、睡魔には勝てず、彼らはついにサンタに会うことは出来ないのですが、翌朝、枕元にプレゼントを発見して喜びます。
プレゼントという物を手にしたからだけではありません。
あぁ、サンタは本当にいたんだ。サンタの国は本当にあったんだと確信できたからです。
信じることが出来れば、心を思い切り夢の世界に遊ばせることができます。
その夢と感動を私は買ったんです。おもちゃという物を買ったのではありません。どうかそれだけは分かって欲しい。
それが伝えたかったことです」
おもちゃは『現象』であり、『本質』は別のところにある。その本質を知ってもらいたくて。だから思いを込めて話した。
すると沈黙が続いたあと、一言相手が言った。
責任者:「少しだけ、私に時間を下さい」
私:「はぁ?」
今度は私が戸惑いの声を上げた。彼は言った。
責任者:「お買い上げの品は超人気商品で、お取り替えしようにもウチの店には在庫がありません。
しかし、他にも店舗があるので、問い合わせしてみます。
探せば1つくらいは見つかるかもしれません。出来れば、今日中にお宅へお届けしたいと思います」
木に竹を接いだような最初の受け答えとは打って変わり、まるで奇跡ではないか!思いもよらない言葉に私は驚き、思わず「無理はしないでくださいね」と言った。
実は、その行為だけでも胸にグッときた。
4時間ほどたった夜の9時頃である。上手く見つかるかどうか不安な気持ちで待っていると、玄関のチャイムが鳴った。
「来た!!」急いでドアを開けたところ、確かにコンピューターの箱をワキに抱えた責任者の方が立っていた。驚いたのはその姿だ。
私はスーツ姿を想像していたのだが、なんと彼は上から下まで真っ赤な服を着ていた。
「えっ、サンタ?」
サンタクロースそのものだったのである。思わず間の抜けた声を発した私に彼は言った。
「はい、サンタが来ました。お子さんを呼んでください」
「わー!サンタさんだ!!」
すでにパジャマを着て寝支度を始めていた子ども達は喜び、サンタの周りを飛び跳ねた。サンタは膝を折ってしゃがみ込み、娘にプレゼントを手渡しながら謝った。
「ごめんね。サンタのおじさんは忙しくてね。
壊れたプレゼントを持ってきちゃった。こっちはちゃんと動くよ。
お利口にしてたら、来年もまた来るからね」
子ども達を部屋に帰したあと私は言った。
「よくぞ子ども達の夢を繋いでくれました!
こんな格好までして、お恥ずかしかったのではないですか?」
すると彼は首を大きく横に振った。
「いいえ。先ほど木下さんが言われた『売っているのはおもちゃではない。夢と感動である』という言葉。じつはそれこそが我が社の理念なんです。
忙しさにかまけてすっかり忘れてしまっていたんです。申し訳ありませんでした」
こう言って私の前で泣いたのである。私ももらい泣きし、こう言った。
「こんんあ素晴らしいクレーム対応を受けたのは初めてです。私は今後、どんなことがあっても、おもちゃを買うときはあなたの店で買います。ありがとうございました」
ついさっきまで、二度とこの店では買わないと決めていた私は、このクレーム対応を受けてすっかりファンになってしまった。
彼は本質を見抜くことで、サンタの服で届けるという現象を生み出した。
いつもこんなに上手く事が運ぶわけではないだろう。
ただ、相手の気持ちに寄り添い、相手が本当に望んでいることを真剣に考えることで感動が生まれるんだと思います。
クリスマスはそんな日なのかもしれませんね。
最後までお読み頂きありがとうございます。